たまには澤田もエンターテイナー

ノンフィクションライター澤田が、このブログではエンターテイナーになった気でいろいろ振る舞います。

静岡市でQRコード決済講座をやるぞ!

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というわけで、3月に澤田真一のQRコード決済講座をやりたいと考えています。

これは脱社畜を目指すフリーランス志望者とか、キャッシュレス決済事業で一旗揚げたい人とはそういうのは対象にしていなくて、あくまでも若年層よりスマホ利用度が低い人(大体50代から上の世代)を想定しています。

開催場所は、まだ確定事項じゃないから公開できないのですが、そこの施設長はかなり先進的な考えの持ち主です。この施設にキャッシュレス決済を導入することを計画しています。

静岡市、というより静岡県も案の定、住民の高齢化が問題になっています。静岡市の場合はそれに加え、若い子が首都圏か中京圏に移住してしまうという問題もあります。言い換えれば、新しいことを中高年にレクチャーできる人材がいないということですね。

もうひとつ、このテのIT講座は有料会員サロンでベラボーな金を稼いでる情報商材屋に消費されている現実があります。

そういうのが実績不明の情報や「社畜にならないようにするためのテク」というものを無理やり売りつけてくるから、IT講座自体が不審がられてしまいます。中高年を対象にした講座だと、キャッシュレス決済にかこつけて訳の分からん投資案件を勧めてくるかもしれません。

だから澤田は、1回500円という料金でただただ物事の解説だけをします。投資をオススメする、なんつーことは絶対にやりません。大体、キャッシュレス決済とはあくまでも為替に過ぎませんから。

Peatixでチケットを売るという手段もありますが、それに関してはこれから考えます。

ガジェットライターはココに気をつける:世の中には日本で使っちゃいけないスマホがある!

最近QRコード決済の話ばっかりだったから、別のことを書いていこう。

読者の皆さん、ここで問題です。

以下はクラウドファンディングKickstarter』に出てきた製品です。見ての通り、これはスマートフォン

www.indiegogo.com

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Ulefone Armor 3T - Triproof Digital Walkie-Talkie Smartphone

さて、貴方がこの製品についての記事を書くとしたら、まずどの辺に気をつけなきゃならないでしょうか?

これは以前書いた記事とダブるんだけど、まずこの『Ulefone Armor 3T』はスマホでありながらトランシーバー機能があり、それを日本で使っちまったら電波法に引っかかるという事情がある。

この事実を、必ず記事の冒頭か最後(その両方でもOK)に持っていく。読者に対する注意喚起だね。

IndiegogoにしろKickstarterにしろ、それに出てくる製品は日本の法律のことは考慮していないものと考えるべきだ。その上で「この製品は日本の技適マークを取得しています」とあったら、それこそ特筆すべき事項だ。

もしこの製品を手に入れて、そのレビュー動画をYouTubeにアップする奴が出てきたら……と考えると本当に怖い。澤田に責任が及ぶとかそういう話じゃなく、澤田の書いた記事が結果としてあちこちに損害を与えてしまうということが不安でならない。

それは、去年テメェで火炎放射器を作ってしょっぴかれた動画配信者にも言える。

www.j-cast.com

こいつは動画をアップする前に、間違いなく澤田の記事を読んでいると思う。とあるショバでXM42についての記事を書いたからね。結構バズったよ、うん。

それだけWeb物書きは影響力が大きいということだし、読者に馬鹿な行為をさせないよう呼びかけないといけないとも思う。それでもしでかす奴はどうしようもないんだけど、少なくとも海外で製造されたものを手放しで絶賛するわけにもいかない。ヤバいものはヤバいと書くべきだ。

最近は、どこのショバでもそれが徹底されるようになった。いいことだ。

何度も言うけど、澤田オフィスは安全モットー。

 

 

PayPayの大盤振る舞いは大失敗だった?

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PayPayの例のキャンペーンについて批評した記事はたくさんあるけれど、その中で澤田が一番納得させられたのが岩田昭男氏のこの記事。

www.mag2.com

Web記事にしては文字数がかなり長めなんだけど、腑に落ちるところがいくつかある。

特に「PayPayの誤算その3:加盟店は家電量販店と一部コンビニだけ優遇され、一般商店はおいてけぼり」の項目は確かにその通りだ。

12月4日のスタート日から家電店は賑わっていた。この時に、私はスカイツリーの下のおしなり商店街でPayPayのスタートを取材していた(墨田区の4つの商店街でPayPayの実証実験を始めるというのだ)。しかし現場に行ってみると加盟店の数は全く増えておらず、商店街には人が集まっていなかった。ビックカメラのお祭り騒ぎは後で知って驚いたが、その熱気は下町の一般大衆には届いていなかった。縁がなかったといえる。

日本でQRコード決済というものを認知させる手段として、100億円キャンペーンは必要不可欠だったと澤田は今でも考えている。結局、その角度からでしか興味を示さない国民性だから。

けれど結果として、「PayPayは家電量販店だけのもの」というイメージが定着した。

QRコード決済とは、そもそもが中小零細事業者に向けて設計されたものだ。何しろ読み込み端末がいらないからね。だからクレジットカード導入すらも考えてない商店街の個人経営店舗が気軽にQRコード決済を導入できるようでないと、本当はダメだ。

しかも岩田氏の記事では、チェリーピッカーの存在も指摘している。

アーリーアダプターたちは、またの名をチェリーピッカーと呼ばれている。チェリーピッカーとは実だけをとって、さっさと逃げてしまう連中のことで、彼らはポイントについてはよく知っている。還元率が高い店に集まり、ポイントだけとって、他の買い物は一切しないから、店にとっても、カード会社にとっても歓迎できない客なのである。

確かにこんなんじゃ、「QRコード決済で商店街が賑わう」ということは夢のまた夢だ。

このあたり、国が主導して中小零細事業者への還元を狙っているインドネシアとは天地ほどの差がある。PayPayのせいで日本でのQRコード決済ブームが一過性に終わる可能性は、正直否めなくなった。

ただ、PayPayがその問題を見過ごすほど愚かなのかという思案もある。

中小事業者(一般商店)に向けた施策はちゃんと考えているはずで、逆にそうじゃなければ100億円キャンペーンの元が取れないし、それをやった意義もないはずだ。

もっとも、ソフトバンクはそもそもがファンドだから、そんなセンチメンタルなこたぁ考えないっつー話もあるけど。

もし岩田氏の指摘通りになったら、結局日本には中小零細事業者に向けた電子決済サービスは存在しないということになる。唯一、さるぼぼコインみたいな地域限定の電子マネーAlipayと連携して辛うじて頑張るような状況になっちまうんじゃねえか?

日本人のガラケー好きとQRコード決済をつなげられないの?

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みんなが非接触型決済を使うだろうからQRコード決済は流行らない、とは澤田は考えない。

いつも言ってることだけど、非接触型決済対応のスマホはどうしても高くなる。機能を抑えて製造コストを下げるとするなら、まず真っ先に切り捨てられるのはNFCだ。けれど、今時背面カメラくらいはどの機種にもついている。

ということは、これが何もスマホでなくてもいいわけだ。QRコード決済アプリをプリインストールしたガラケーっつーのは、日本では今のとこ出てないわけ?

一度作ってみるのもアリだと思うよ。Android OSの、極力安く買えるようにしたやつ。実際にGoogleインドネシアで発表した「770円ガラケー」っつーのは、キャッシュレス決済を利用させるのが目的だからね。

インドネシアで「770円フィーチャーフォン」が登場 Alfamartで2019年3月迄に販売開始 |ライフルメディア

youtu.be

店頭に掲示されてるQRコードを読み込んで自分で金額を入力するタイプのやり方は、よく考えてみればガラケーの物理ボタンとしっくり来るんじゃねぇか?

その上でスマホの非接触型決済とも連動できれば、QRコード決済がまったく流行らないっつーことはないと思うんだが、どうだろうか。

LINE PayのCOOが物凄ぇこと言ってる!

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日系BPムックの『QR決済』を購入。早速読んでみる。

結論から言えば、資料としてなかなか良質な内容だ。とりあえず今年の半ばまではこの1冊でしのげるんじゃねぇのかな。今日本国内にある主要決済サービスに関しても、かなり詳しく書いている。

で、澤田が気になった一文がある。それはLINE Payについて書かれてる部分のものなんだけど、要は「これからいかにしてLINE Payを普及させるか」ということに突っ込んだ内容だ。ちょっとここで引用させてもらう。

以下、LINE Pay COOの長福久弘氏の発言ということで書かれている。

飲み会の席でLINE Payを使っていないユーザーが1人だけいたような場合、「早く使えよ」と自然に加入が促進される。(『QR決済』42ページ)

そら普及するわなw 

さらっと言ってるけど、冷静に考えたら物凄ぇ発言だぞ。いや、もちろん悪いことじゃないんだけど、「みんなが使ってるから自分も使う」「自分ひとりだけ使ってないのはみんなに悪い」っつー日本人特有の考え方を見事マーケティングに生かしてるよね。

LINE Payには割り勘決済機能があって、それを飲み会とかで使う場合は確かに「早く使えよ」っつー流れになることは想像できるんだけど、そもそも割り勘という行為自体が日本的なんだよ。これがイギリス人だったら、誰かひとりがその場で払って次の飲み会では他のひとりが払って、そのまた次の飲み会で……という感じで最終的に損も得もしない形に持っていく。注文したものが出てくる度に料金を支払わなきゃならないイギリスの飲み屋の勘定手段も関係してくるけどね。

「割り勘=ケチな人間の発想」というのが、ワールドスタンダード。もちろん、それが悪いっつってるわけじゃねぇぞ?

ただ、長福さんの言ったことは、下手すりゃ同調圧力を商売に利用しているという解釈もできなくないんだよな。それは澤田の邪推だと返されたらそれまでなんだけど、飲み会で「みんなLINE Pay使ってるのに、何でお前は使ってないんだ?」って酔っ払った上司から言われたら、むしろ萎えちまうんじゃねぇの?

若い子が会社の飲み会を避けるようになってる理由が、結構よく分かる。

「電子マネー」の定義は国によって違う! ベラボーにややこしい世界のQRコード決済事情

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澤田の執筆した「インドネシアQRコード決済サービス」に関する記事を読むと、ところどころ「QRコード決済サービス=電子マネーサービス」という感じで混同しているはずだ。

多分、それに不満を感じている読者もいると思う。

正直に言っちまうと、混同している。ていうか逆に、日本では「QRコード決済サービス」と「電子マネーサービス」が別物だということに澤田は違和感を感じている。そのくせチャージ機能のないOrigami payを好き好んで使ってたりするんだから、矛盾もいいところだ。

電子マネー」というものの定義、というか構造が、国によって全然違う。

まず、2億6000万のインドネシア国民の半数が銀行口座を保有してないということを念頭に置いてもらいたい。

日本の場合は、己の銀行口座を持ってないという人間のほうが少ない。だからQRコード決済と銀行口座(或いはクレジットカード)を直結させることができる。つまりQRコードで支払ったら、その分の引き落としが即座に口座へ反映されるっつー仕組みだよね。デビットカードと一緒だ。

ところが、インドネシアではこれができない。QRコード決済サービスの運営者が、最初から電子ウォレットを用意してやらなきゃどうしようもない。チャージは利用者が現金片手にコンビニへ行くか、Go-Payの場合はバイクタクシーのライダーにカネを払ってしてもらうっつーやり方だ。

www.go-jek.com

だから「決済サービス=電子マネーサービス」という等式が成立するわけだ。

これをどこかで説明しないと、いずれは読者か同業他者から突っ込まれる可能性がある。さて、どうしたもんか。国が違えば電子決済サービスの中身も違うんだけど、QRコード決済の場合は銘柄が乱立しているから余計にややこしい。

これはひとりじゃ荷が重い仕事かもしれねぇなぁ……。

年末年始はポワロ三昧だった澤田

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年末からAXNミステリーで『名探偵ポワロ』のマラソン放映をやっていた。

というわけで、澤田の年越しは紅白でも格闘技でもガキ使でもなく、ポワロだった。いや、小学生の頃から大好きだったんだよ。NHKで観てたもの。

いつもフォーマルな格好のポワロが、子供の頃の澤田には妙に格好良く感じた。テレビ版のポワロは舞台が1930年代に統一されていて、その頃はアール・デコの全盛期だった。

近代美術史を勉強している若者は、全員ポワロを観るべきだとも考えている。それだけこのドラマは、ヨーロッパに活力があった最後の時代を余すことなく描写している。

その後は第二次世界大戦という地獄を経て、ヨーロッパは東西に分断されて輝きを失っていく。40年代後半から60年代前半にかけて世界で一番輝いていたのは、アメリカのニューヨーク。だから澤田は、この頃のビバップジャズも好きだ。

ヨーロッパとアメリカ、どちらも「戦争が文化の絶頂期を終わらせた」という背景がある。アメリカの場合はベトナム戦争だね。

ポワロを見ていても、ナチスドイツの影がちらちらと見えてくる。たまにポワロの周辺にヒトラーを賛美する人間が出てきて、「イギリスもああいう力強い指導者がいたらいいのに」と口にする。それに対して「ポワロはああいう指導者がいなくてよかったと思います」とはっきり返す。

当然だけど、ポワロは反ナチス。けれど過激なテロを起こしたり、積極的に政治活動をするタイプの人間というわけじゃない。社会的地位を持った紳士の立場を崩さず、物静かな口調で独裁者に対する反感をさりげなく表明する。それが本当に格好良いと思う。

ポワロはカトリック信者で、信仰心もかなり篤い。『オリエント急行の殺人』ではそれがはっきりと出ている。というか、ポワロの信仰心が爆発する。

もちろんここで言う『ポワロ』とはデヴィッド・スーシェ版。スーシェの『オリエント急行』は本当に素晴らしいドラマだと思う。いかんせんミステリーだから結末は書けないんだけれど、「キリスト教(この場合はカトリック)の考えがどういうものか」ということがよく分かる作品でもある。

原作にはない描写だから、これは女房を質に入れてでも観るべきドラマだ。いや、本当に質に入れちまったら困るんだけど。