たまには澤田もエンターテイナー

ノンフィクションライター澤田が、このブログではエンターテイナーになった気でいろいろ振る舞います。

【The 金返せ】シンガポールのシェアバイクサービス『oBike』

さて、今日から始まりました『The 金返せ』のコーナーですw

ここでは、世界中のThe 金返せ案件を日本語でご紹介したいと思います。

まずは先ほども筆者が嘆いていた、シンガポールのシェアバイク『oBike』について。

まずは、シェアバイクについてご説明します。

現代の自然環境保全志向の高まりを受け、人々の間には「自動車から自転車へ」という意識が共有されるようになりました。その中で、街中でいつでも自転車をレンタルできるシェアサイクルというものが注目されていきます。

専用アプリと連携し、車体にあるQRコードを読み込んでその場で電子決済をするという仕組みは、大いに受け入れられました。

シンガポール発のスタートアップoBikeは、それに「乗り捨て自由」ということをセールスポイントにしていたわけです。

日本では、自転車の乗り捨てに対してとても厳しい規制を課しています。ですから、専用駐輪場を設けていないシェアサイクル業者に営業許可を与えるということは絶対にありません。しかし、シンガポールはそれでも問題なかったのです。

利用者から見れば、どこにでも自転車を乗り捨てられるから非常に便利でした。自転車にはGPSトラッカーが装備されているため、アプリを見ればどこに自転車があるのかを把握することができます。

ただし、利用者はその利便性を享受する代わりに49シンガポールドル(約4000円)をデポジットとしてoBikeに預ける必要があります。これはもちろん、いつでも返金してもらうことができます。デポジットですからね。

こうしてoBikeは急成長しました。去年8月には、シリーズBの投資ラウンドで4500万米ドル(約49億円)というベラボーな資金を手にします。同じくシンガポール発のオンライン配車サービス『Grab』とのアプリ連携も決まっていました。

しかし、各国に進出したoBikeは地元民とトラブルを起こします。

考えてみてください。我々の住んでいる町に、ある日突然シェアサイクル企業が1000台単位の自転車をばら撒きます。それらは乗り捨て自由です。人んちの前、公園、歩道上の点字ブロックにも堂々と置きやがります。オーストラリアのブリスベンでは、oBikeの自転車を川に捨てる奴も出てきました。

また、それらの自転車のメンテナンスは誰がするのかという問題もあります。サドルがなかったり、パンクしている自転車も珍しくない状態です。

結果、シンガポールブリスベンではoBikeの放置自転車が溢れかえる状態になりました。当局はそれを取り締まるため、シェアサイクル業者に新しい規制を課します。シンガポールの場合は、業者に対して自転車1台毎に60シンガポール(約4800円)を払えと要求しました。

それに対応できなかったoBikeは、ついにシンガポールでのサービスを凍結します。

しかし、問題はoBikeがユーザーから49ドルのデポジットを預かっているという点。何とその後のアプリ更新で、デポジット返金の項目を削除してしまいます。火に油を注ぐような行為に、シンガポールのユーザーは激怒。oBikeのFacebookページは炎上、change.orgに署名プロジェクトが登場するという始末です。

https://www.change.org/p/obike-singapore-get-a-refund-of-my-deposit-with-obike-singapore

ですが先ほどこのブログでも書きましたが、ユーザーにも責任の一端はあると澤田は考えています。そもそも、ユーザーのマナー違反が積もり積もった結果ですからね。

シェアサイクル事業そのものは素晴らしいのですが、駐輪場を設けないことのデメリットを業者もユーザーも本気で考えていなかったからこうなったのではないでしょうか。