たまには澤田もエンターテイナー

ノンフィクションライター澤田が、このブログではエンターテイナーになった気でいろいろ振る舞います。

大人になった野比のび太について、本気で考察してみた。

ドラえもん第1話にこんな話が出てくる。

もしドラえもんが来なかった場合、のび太は悲惨な人生を送るという話で、孫がわざわざその様子を撮影したアルバムを持ってくる。

大学一浪、卒業後は就職先が見つからなかったという理由で起業、その5年後に社屋が全焼し、恐らくそれがたたって起業7年で倒産……。

これが「のび太はスペック高過ぎ」とネットで言われている所以だ。

澤田もそう思う。

たとえばのび太よりも10歳ほど年上のスティーブ・ジョブズは、大学を半年で中退したあとはアタリに就職している。あのジョブズですら、就職の経験があるということに注目してほしい。対してのび太は大学卒業直後に起業した。これをカリスマ起業家と言わずに何と表現するんだ?

しかも、リアルの90年代に当てはめればのび太の抱えていた苦悩と彼の清廉潔白さがよく分かる。北海道拓殖銀行山一證券が潰れたのは、ちょうどこの頃だ。けれどのび太の性格からすると、拓銀や山一もやってた粉飾決済とか不良債権隠しなんかは絶対やらないと思う。というより、そんな度胸が彼にあるとは思えない。

本社が火事で全焼しても、それは保険でカバーできるはずだ。しかも本社全焼から2年も会社を延命させたという手腕をのび太は発揮している。

ただ、恐らくのび太の会社は野比家の同族経営だったんじゃないか?

というのも、「会社つぶれ借金取りおしかけ」というところがすごく気になる。事業を負債付きで譲渡できればいいはずなのに、それをしなかったということだ。まったくの徒手空拳から7年も存続した事業だから、買い手を見つけるのは難しくないと思う。若乃花ちゃんこダイニング若を売っ払ったのと同じだね。ところが、会社経営に関してまったく無知な野比家の誰かが事業譲渡に反対した……という流れなんじゃないかと澤田は考える。

証拠はないけど、反対したのは多分母親だ。ヒステリー症で己の価値観、先入観を息子に押し付けるあの母親。「あんたにはもう会社を立て直すしかないの! 会社を売ったらあんたはただの無職なのよ!」とのび太に迫って、彼もそれを跳ね除けることができなかった可能性がある。

息子が一時的にでも無職になることを母親が恐れたせいで、のび太はすぐにでも手放せる負債を抱えることになった。

人一倍強迫観念が強い上、根からの専業主婦だから資本主義経済の仕組みに関しては何も知らない。にも関わらず、子供の事業に干渉してしまった。これは悲劇以外の何ものでもない。

逆に、事業譲渡さえ済ませればのび太の未来はかなり明るい。銀行もベンチャーキャピタルも、のび太の経歴には一目置くはずだ。