たまには澤田もエンターテイナー

ノンフィクションライター澤田が、このブログではエンターテイナーになった気でいろいろ振る舞います。

「最貧国の子供たちにPCを送ろう」という活動は十中八九失敗する

f:id:vascodagama38:20181105232024j:plain

ヒラリー・クリントンも熱を入れていたことがある、「貧しい国の子供たちにIT教育を受けさせよう」という慈善活動。

最近では、こんな取り組みもある。

www.watch.impress.co.jp

有名な非営利団体OLPC』に関する記事。凄いのは、太陽光パネルがセットになってるPCを発展途上国の子供たちに配っているということだ。しかもこのPC、1台100ドルほどの値段らしい。ベラボーに安い!

これと学習に特化したソフトウェアを組み合わせて、世界の子供たちにIT教育を提供しようという試みを行ってるとのこと。ITだけじゃなく、算数や音楽の授業にも活用できるっつー話だ。

澤田はこのテの取り組みを疑っている。

その理由は単純で、子供はやっぱり勉強よりも遊ぶことのほうが好きだからだ。

先述のPCを使って花開く才能もあるだろう。けれどそれ以上に、スマホは低価格化が進んでいる。どこの国でも、子供がスマホで遊ぶ光景は珍しいものでなくなった。

上の記事では、

ベンダー氏は、「シュガーを作った当初は、『実際に子どもがソースやコードを見たりするのか?』と聞かれ、私も『やらないですね』と答えていた。しかし、数年経つと状況は全く変わった。2012年にはシュガーのパッチの50%は子どもから提供されるようになった。ライセンスを付与し、やり方を教えてあげれば子どもたちは実際に使う」と述べた。

とか、 

また、南米のウルグアイで2009年と2010年に行った調査によると、シュガー導入前の子どもたちは、PCを使って「ゲーム」をすることが多かったが、シュガー導入後は、ゲーム以外にも「文章を書く」「ソフトウェアのコードを書く」「絵を描く」「情報を検索する」など自己表現のためのツールとしてPCを使うことが増えたのだという。

 という感じで、どういうわけかかなり昔のデータが多用されている。ちなみに、該当記事の配信日時は2018年8月17日。

インドネシアの話で言えば、2013年の半ばから100ドル前後のスマホが一気に普及した。配車アプリ『Go-Jek』が大成功したのも、ローエンドモデルのスマホが大衆に浸透したからだ。

学習用PCとスマホ、子供にとってどっちが魅力的かと言えば、やっぱスマホじゃねぇのかな? Facebookできるし、ポケGOできるし、ようつべ観れるし。

OLPCの関係者は、何でここ1、2年の話を殆どしないのか。2012年と今とじゃ状況が全然違う。

 

『テクノロジーは貧困を救わない』という本があるんだけど、これによるとPCやらスマホやらを渡された子供たちの大半はゲームとSNSしかしないそうだ。それができない仕様のPCは、誰にも見向きもされなくなる。結果、埃を被って朽ちていく。 

テクノロジーは貧困を救わない

テクノロジーは貧困を救わない

 

 当然だよね。かつては「テレビを教育に活かそう」という試みもあって、テレビ朝日テレビ東京が教育番組専門局だったんだけど、それじゃ視聴率なんか取れない。

60年代の日本で一番強かった民放は日本テレビだった。日、火、水、木、土のゴールデンタイムはプロ野球の巨人戦で、月曜は歌番組、火曜はジャイアント馬場全盛期のプロレス中継だった。この番組表で、日テレはゴールデンタイムになると常時30%の視聴率を取ってたわけだ。

それを少しでも切り崩すのに、教育番組はまったく役に立たなかった。テレ朝なんか金曜のプロレス中継に対抗するために、日本プロレスに恨みを持つグレート東郷に接近しようとしていたほどだ。ところがそれを察知した日プロが、テレ朝にアントニオ猪木の試合の放送権を渡す手段に出た。ここからテレ朝は教育番組専門を捨てて「普通のテレビ局」になっていくわけだ。

最先端テクノロジーというのは、娯楽と共に発達する。断言すると、教育分野へのテクノロジーの転用なんてのは二の次であることが普通だし、そもそも圧倒的な経済力を持った国の人間が「教育」なんてものを途上国に大量輸出するのはどうかとも思う。