『恋と嘘』が結構面白い
インドネシアのアニマックスでは今、『恋と嘘』のアニメを放映している。
これがなかなか面白い。
日本は少子化対策のために「ゆかり法」という法律を制定した。これは政府が遺伝子判定に基づいて予め結婚相手を決めるもので、それに逆らうことはできない。 もし逆らったら、社会不適合者として世間からハブかれる。その状況下でひとりの男子×ふたりの女子の恋愛模様が繰り広げられる……というのが大まかな内容だ。
何が面白いって、この作品が「理不尽な政府に立ち向かう」という男性的な内容じゃないっつー点だ。人権侵害以外の何ものでもない法律が存在する、というのは『恋と嘘』では話を盛り上げる一要素に過ぎない。そこで展開されているのは、ティーンエイジャーの「ごく普通の」恋物語。
良い意味で女性的な作品に仕上がっている。
だって、考えてごらんなさい。『恋と嘘』の舞台背景をそのままシルヴェスター・スタローン主演&監督の作品に移植したら、筋骨隆々のロートルオヤジが青二才どもを従えつつ自由と独立のために怒りの機関銃をぶっ放すっつー内容になっちまうぜ。
まあそこまで極端じゃなくとも、男性的な発想の作家に「ゆかり法」の設定でシナリオを書かせたら「社会不適合者とされた主人公がゆかり法を打倒するため雄々しく立ち上がる」という流れになるはずだ。ところが、『恋と嘘』はそうならない。
最初から「革命物語」を期待している人にとっては、恐らくとんでもなくつまらない内容だと思う。けれどその発想は、敢えて語弊のある表現をすれば「男性脳」の思考回路だ。『恋と嘘』は「女性脳」が練ったシナリオを採用しているから、どこまで行ってもハードボイルド展開なんてあるはずがない。