たまには澤田もエンターテイナー

ノンフィクションライター澤田が、このブログではエンターテイナーになった気でいろいろ振る舞います。

日本人は「野党のアメリカ」しか知らない

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日本から「アメリカ」に引っ越した人が、「アメリカ」の素晴らしさをSNSで大絶賛する。

それ自体は別にいいんだけど、問題はその「アメリカ」がカリフォルニア州かシアトルかニューヨーク中心地か、下手すりゃハワイかもしれない可能性があるということだ。

平均的な日本人の考える「アメリカ」は上記の地域で、アメリカ合衆国という国に憧れる日本人が住んでみたいと考えるのもこれらの地域。そしてその念願を達成したら、人は夢の土地から動かなくなってしまう。

西海岸沿いと東海岸沿いのアメリカは、はっきり言って「少数派のアメリカ」だ。だけどこの国じゃ少数派がベラボーな財力を持ってたりテクノロジーに強かったりするから政治的発言力もあるわけで、ここは「多数派のアメリカ」にも目を向ける必要がある。

要は中西部と南部の、共和党が強い地域だ。

共和党議席を取る地域ではハリーポッターシリーズが有害図書指定されているということは、日本では殆ど知られていない。なぜかというと、ハリーポッターは魔法使いだから。南部ではかなりの影響力を持つキリスト教福音右派にとって、魔術はタブー。神への冒涜。だからそれを助長させるハリーポッター有害図書以外の何物でもないわけだ。

同性愛と人工中絶は神をも恐れぬ悪の所業。人間と猿の祖先が同じだったはずはない。ダーヴィンの進化論を学校で教えるな。ついでに銃の所持は神が与えたもうた権利。アラモの戦いのように、いつメキシコ人が攻めてくるか分からない。

そういう事情を骨の髄まで知り尽くしている町山智浩の本は、本当に面白い。澤田はそういう人だけを信じる。

「野党のアメリカ」しか知らない人の言葉に説得力を感じたことはない。