澤田オフィス配信記事補足 2018年12月11日uzurea.net「ASEAN諸国のeスポーツ政策」
これからちょくちょく、澤田オフィス(ていうか澤田)が各メディアで手掛けた記事の補足を、このブログで書きたいと思います。
というのも、メディアによってはあまり突っ込んだ表現ができなかったりするんですよ。大事な部分を強調するために敢えて話を飛躍させる手法も、さすがに商業メディアではやりづらいというのもあります。
先日、uzurea.netで配信したこの記事について。
この記事の中で、澤田は静岡市の駿府城発掘プロジェクトについて書いている。
明治時代、ロクな調査もせずにさっさと天守台を埋め立てたのは歴史的事実。その理由は陸軍を誘致するためで、これは当時の静岡市長以下みんなが一丸となって叶えた公共施設誘致だった。
その理由は、陸軍が来ると電気も西洋式水道も通るから。商店街だって賑わう。そこへもって当時の駿府城の敷地は市の所有だった。だから軍の高級将校に頼み込んで連隊本部を作ってもらったわけだ。
こういうことは、環太平洋火山帯の島国に住んでいる以上は避けられない。
インドネシアは島国なのに何で陸軍が強いかというと、山を越えるための陸上走破力があの国では欠かせないから。だから山間部にも駐屯地が必要だ。もちろん、その周りの集落にはインフラ整備が施される。
日本の場合は太平洋戦争で負けて、旧日本軍が政治的影響力を全く持たない自衛隊に置き換わった。だから田中角栄の列島改造計画には大きな壁がなかった。
ところが、軍隊が政治的影響力を持つ国では「田中角栄VS陸軍」の争いがしばしば発生する。タイのタクシン元首相は北部の農村地帯に金を落としてインフラ整備を進めさせたけれど、陸軍がそれに食いついた。
インドネシアの場合も、バリ島のブノア開発計画やジャワ・スマトラ海峡大橋建設計画に陸軍が絡んでいる。
そういう争いがあるのは開発資金の源泉が限りある国庫だからであって、民間企業の資本があればそれに越したことはない。けれど、民間企業は何の利益にもならないド田舎に金を落としたがらない。
開発にはきっかけが必要だ。
そういう視点に立てば、eスポーツが恐ろしく有望なキラーコンテンツだということがよく分かる。
考えてみればテレビだって、登場したばかりの頃は映画業界から「電気紙芝居」と蔑まれていた。まさかあんな小さい画面の玩具が普及するとは、誰も考えていなかった。
じゃあそうなったきっかけは何かといえば、プロレスだ。
プロレスは低コストで視聴者を興奮させることができる。放送に必要なものはリング1台、ゴング1個、レスラー2人、レフェリー1人、タイムキーパー1人。それだけだ。しかも室内でやるものだから、シーズンオフというものもない。VTRのない時代、時間きっちりに終わってくれるというメリットもあった。
視聴者の側から見れば、プロレスは白黒の画面でも分かりやすい勧善懲悪の構図だ。黎明期のテレビにとって、プロレスは絶対的な視聴率が見込めるキラーコンテンツだった。
eスポーツもそうだ。ネット環境とスマホかタブレットがあれば、誰でもできる。この手軽さに勝るものはないだろう。
それが分かっているから、ASEAN諸国の閣僚は「eスポーツなんてスポーツじゃない」なんて戯言は言わない。インドネシアの場合は中国との領土問題やパプア独立問題も抱えているから、「ここはインドネシア領だよ」という既成事実としての電波塔建設に力を入れているという側面もある。
それにしても、マレーシアの青年スポーツ大臣って若っけぇよなぁ。澤田の8つ下だっけ?