たまには澤田もエンターテイナー

ノンフィクションライター澤田が、このブログではエンターテイナーになった気でいろいろ振る舞います。

PayPayは「QRコード決済普及」の空気を作ってくれた

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PayPayは、日本で「QRコード決済というものが存在する!」ということを大々的にPRしてくれた。

あれだけバラマキのようなことをやらなきゃ、日本でQRコード決済が認知される動機がない。

みんなの記憶が薄れないうちに書いておくけれど、「QRコード決済は胡散臭い」「信用できない」という空気が数ヶ月前までの日本には漂っていた。PayPayはそれを払拭してくれた。やっぱり日本人は、ビートたけしの言ったように「赤信号、みんなで渡れば怖くない」の国だ。これだけ手軽な電子決済手段が「胡散臭い」と言われて、何年も普及しなかった。だからソフトバンクやヤフーみたいな大企業がバラマキ政策をやって、「あの人もPayPayを使ってるから、自分も使わなきゃいけないような気がする」という空気を作ってやる。

澤田は今、山本七平の「空気の研究」を読み直している。

「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))

「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))

 

それはさておき、QRコード決済。

どうして新興国QRコード決済が普及しているかというと、事業者側の手間がかからないからだ。

NFC決済を導入するとなると、それがスマホであれカードであれ店側が読み取り端末を用意しなきゃならない。ところが、中国とか東南アジアみたいに「モノを売る零細事業者」が星の数ほどいる国々だと、NFC決済は事業者にとって面倒なものになっちまうわけだ。「細かい機器を買わせる」ということだからね。

あと、NFC搭載スマホは値段が高いというのもある。その点、QRコード決済はスマホにカメラがあればいい。

それにASEAN諸国の国民は特にそうなんだけど、日本人ほど銀行を信用していない。特にインドネシア人はアジア通貨危機の時に散々な目に遭ったから、いざという時に銀行は店を閉めちまうものだと考えてる節がある。

だから「銀行信仰」というものが一切ない。逆に考えると、日本で電子ウォレットというものがいまいち信用されていないのは「銀行の作ったシステムは盤石で、名もないベンチャー企業が作ったシステムは信用ならない」という発想があるからだと澤田は考えている。ところが、インドネシア人から見れば銀行もベンチャー企業の電子ウォレットもみな同じ。だったら、より便利なものを選ぶのが人情っつーやつだ。

「電子ウォレットから残高を盗まれたらどうするんだ」という声が今でもあるけど、それは銀行口座だって同じだ。各社の規定を吟味して、より手厚い補償制度を採用しているところに金を預ければよろしい。

 

PayPayは、どこかであと2、3度は大きなキャンペーンを打ち出す必要があると思う。

できれば今度は、少額の買い物を想定したキャンペーンがいいかもしれない。この前の「100億円」は、大型の買い物を想定したものだった。そうじゃなくて、カフェでコーヒーを1杯飲む程度の利用にピッタリなキャンペーンをやるべきだ。

もちろん、その場合も「大盤振る舞い」でなきゃいけない。500円以下の利用で、2回に1回は全額キャッシュバックっつーのはどうだろう。そんな感じで、細かいところを攻めていく。

これが上手くいけば、加盟店も増えるんじゃねぇかなと澤田は邪推している。