たまには澤田もエンターテイナー

ノンフィクションライター澤田が、このブログではエンターテイナーになった気でいろいろ振る舞います。

「日本人が劣化している」と炎上中の番組

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こんな番組が、絶賛炎上中だ。

男女6人でカンボジアに貧乏旅行。番組から渡された予算はひとりアタマ1日2000円ほど。それをどこかでパッと使っちまって、金が足りなくなる。

そこで若者が取った行動は、散々っぱらに飲み食いした食堂で値引きしてもらったり、市場の中の屋台でタダで食わせてもらおうとしたり……。

そら炎上するわ。

これがヤラセかそうじゃないか、というのは議論の対象にはない。同じヤラセ番組でも、『電波少年』のヒッチハイク企画は「現地で労働して資金を得る」という描写があった。

この20年で日本人は劣化したんじゃないか、という声が上がるのは当然だ。

youtu.be

何でこの件が炎上したのか、番組スタッフは考えたほうがいい。

それはカンボジアにまで行っておきながら、やってることは内輪のキャッキャウフフだからだ。そんなのは上野動物園でもできるはずだし、内輪のことしか考えてないから現地の人々の暮らしにはまるで興味がない。

ディレクター以下番組スタッフにとって、現地の人々は都合のいい背景に過ぎない。リスペクトのかけらもない態度が番組の中で露骨に出たから、炎上した。

 

日本の若者が「あれ? お金足りないよぉ」なんて頭掻きながら現金の束と格闘する。

この場面ひとつ取っても、ASEAN諸国の人々から見れば冷笑ものだという事実を認識したほうがいい。

ASEAN諸国は、我々日本人が漠然とイメージしている以上にキャッシュレス決済が普及している。QRコード決済なら、NFCのない低価格スマホでも対応できる。事業者にとっても小銭を省くことができるし帳簿つける作業も簡単になるから、新興国でキャッシュレス決済は爆発的に普及した。

それに対応できない日本人は、もう「クールな技術先進国の国民」と見なされなくなっている。

日本はもう、「すごい国」でも何でもない。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ではモノづくり大国アメリカの凋落が描かれていたけれど、今ではそのターンが日本に回っている。

 

こういう時期に「日本の若者が東南アジアに学ぶ」って内容の番組を作れないのかね?

日本の若者が向こうで合コンしたり、気まぐれのようなボランティアをするんじゃなくて、それこそキット・メン(カンボジア)やハルトノ兄弟(インドネシア)みたいなASEAN経済の重鎮にビジネスのイロハを伝授される、みたいな内容で視聴率取れないのかね?

 日本国内は老人が多くなって、最先端テクノロジーにはとんと疎くなっちまったんだから、若い子は中国か東南アジアへ出て学ぶしかないと思うんだが。