たまには澤田もエンターテイナー

ノンフィクションライター澤田が、このブログではエンターテイナーになった気でいろいろ振る舞います。

その筋の有名人がトンデモ説を公言する理由

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とある舞台俳優が、「広島の原爆は日本が上空に打ち上げて爆発させた」とツイートした。

何かしらの分野でネームバリューのある人間が、このテの陰謀論(というよりトンデモ説)をSNSで叫ぶという光景はもはや見慣れたものだ。これは彼だけの現象じゃない。

何でそんなことを公言してしまうのか。

一言で言えば、個人事業主だからだ。「劇団に雇用されているか否か」「法人を運営してるかそうでないか」という意味じゃないぞ。その職業の本質として、宮仕えというよりは一国一城の主という意味合いで「個人事業主」という言葉を使っている。

 

個人事業主とは何か?

それは「法に触れない限りは何をしてもいい人」だ。

澤田も含めて、個人事業主は恐ろしく自由度の高い世界で米を取っている。物書きの場合は「どんなものを書けるか」が収入の差を生み出すわけなんだけれど、人は誰しも得意不得意を持っている。熱量を入れられるテーマとそうでないテーマがある、ということだね。

その上、たとえば○○のことを書いたとしても「何で澤田が○○のことを書いてるんだ? お前のほかにも○○に詳しい物書きはたくさんいるんだから、今さら澤田が○○について書く必要はない」と突っ込まれてしまう。つまり「澤田が○○についての記事を書く意義」を、常に思案しないとその分の米を取っていけないということだ。

そういうことがあるから、個人事業主の世界は己のフェイバリットを確立させた人間が強い。その分野を独占することだってできる。もちろん、フェイバリットは多ければ多いほどいい。

けれどそのフェイバリットが少ないか全く持っていない人間、或いは今持っているフェイバリットに集客力がなくなってしまった人間はどうすればいいのか?

一番簡単なのは、陰謀論を公言することだ。それまでの知名度とトンデモ具合が混ざり合って、一時的な集客力を発揮することができる。

 

ただしそれは、「集客」ではなく「扇動」だということに本人が気づく日は決して遠くはない。

過激なトンデモ説、陰謀論は恐ろしく足が早い。SNSで公言したら2日は注目の的になるだろうけれど、やがて大衆は食傷を起こす。

個人事業主にとって、お客さんの食傷は何よりも恐ろしい。話題にすら上がらなくなる、ということだからだ。

新型コロナのせいで家から一歩も出られず、フェイバリットを確立させるためのスキルを磨くことすらできない東京在住の個人事業主は、向こう1年は陰謀論の泥沼にはまらないよう注意が必要だ。