たまには澤田もエンターテイナー

ノンフィクションライター澤田が、このブログではエンターテイナーになった気でいろいろ振る舞います。

「爆破予告」は気持ちいい?

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「渋谷署と入国管理局を爆破する」というメールをよこした犯人、何だか反差別デモとは全然関係ないように感じる。てか、実際関係ないだろう。

まず、この犯人は己の主義主張を高らかに叫んだ様子がない。今の時点での報道を参考にすると、単に「自分はアンティファの関係者で、いつここに手榴弾を爆破させてそれが失敗したら包丁で……」と書いてるだけだ。

もし奴さんが本気なら、そんなことは書かない。

マジもんの活動家だったら、その前に「自分がいかに正しい活動に従事しているか、日本政府がどれほど愚かなことをしているか」を長々くどくどと演説するはず。それも、一般大衆の目に届くところで。一番いいのはSNSだ。

要は檄文に相当する文章が見当たらないわけだ。

しかも、犯行手段が何だか幼稚。手榴弾投げて、それが失敗したら包丁って……。ナイフ=包丁という連想しかできない、厳格な銃刀法の下で生きてきたごくごく普通の日本人にしか思えない。

その上でさらに憶測を立ててみる。愉快犯で、なおかつ多少でも中二病っぽい状態に陥ってる男なら、もっと犯行手段にこだわるんじゃねぇのかな。「俺はこういう策を講じている。お前らはこの俺を止めることはできないだろう」みたいにね。男っていう動物は、外に向けて己の考えやステータスを主張するのが大好きだ。

だけどこの脅迫文は、何だか違うんだよ。

ここまで書いて澤田の推測が外れたら恥ずかしいんだけど、この脅迫文の犯人は30~40代の女で、首都圏外に在住、とTwitterで書いてしまった。もちろんアンティファとは一切無関係。このあたりは澤田がいつも書いてるように、発信欲と「嫉妬と焦り」を日常生活で消化できない人間が衝動的にやってしまったことなんじゃなかろうか。

 

Googleで「爆破予告」と検索すれば分かるけれど、どこかの施設を爆破すると脅迫する事件は殆ど毎週のように起きている。

犯人はパチンコに負けて落ち込んでいた初老の女だったり、イタズラのつもりで書き込んだ小学生だったりするけれど、いずれにせよこのテの脅迫文を送る人間は話題にするにも足らない連中だ。

そのへんの不甲斐なさは、本人が一番理解しているだろう。けれど、そんな不甲斐ない人間がほんの一瞬だけでも世間の注目を浴び、ニュース番組のスターになれる。たった1日だけの非日常とスリルを得ることができる。小さな自分が大きな世の中を動かしたという既成事実もできる。

やってる本人としては、気持ちいいだろう。ただのモブから、ほんの一瞬でも主役に昇格できたんだから。

そう考えると、爆破予告の脅迫文は麻薬のようなものだと思う。