「いいもの」を知るきっかけって、結構くだらない
「いいもの」を「これはすごいものだ! ほれほれ買ってみろ!」っつーのは、ただの押し売りだよ。
今日、こんなことがあったんだよね。
取材で伊勢丹新宿店に行ったんだ。煎茶のカクテルを作るキットがクラウドファンディングに出てて、その実演をバーテンダーがやってたんだけどね。いや、もちろんそのカクテルは美味かったよ。で、これは曲がりなりにも酒だから、その勢いもあってバーテンといろいろ話が盛り上がったわけ。
そしたらそのバーテンが、ふと目の前にあるコップを指差す。で、こんなこと言うの。
「このコップは木でできてるんですけど、新潟県三条市のマルナオっていうメーカーが作ってるものなんです。よく見てください。継ぎ目がひとつもないでしょ?」
そう言われて、初めて目の前にあった木のコップがベラボーなものだって分かったんだよ。バーテンに言われなきゃ、間違いなく今でもそのコップのすごさに気づかなかった。
こんなもんなんだよ、「いいもの」を知るきっかけっつーのは。一時期ナマクラの愛国心を振りかざして「メイド・イン・ジャパンは世界一」なんてことを大手民放ですら叫んでたんだけど、そんなことやったって視聴者は白けるか呆れるかのどっちかなんだよ。
そうじゃなくて、ちょっと酔ってる時に誰かに言われて初めて気づくとか、本当に些細でくだらないきっかけが「いいもの」の存在を教えてくれるんだ。
このコップ、木とは思えない曲線で手に馴染む。1個何万円ってする代物らしいんだけど、それ以上の付加価値は絶対にある。いや、マジですげぇわ。