たまには澤田もエンターテイナー

ノンフィクションライター澤田が、このブログではエンターテイナーになった気でいろいろ振る舞います。

PayPayの大盤振る舞いは大失敗だった?

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PayPayの例のキャンペーンについて批評した記事はたくさんあるけれど、その中で澤田が一番納得させられたのが岩田昭男氏のこの記事。

www.mag2.com

Web記事にしては文字数がかなり長めなんだけど、腑に落ちるところがいくつかある。

特に「PayPayの誤算その3:加盟店は家電量販店と一部コンビニだけ優遇され、一般商店はおいてけぼり」の項目は確かにその通りだ。

12月4日のスタート日から家電店は賑わっていた。この時に、私はスカイツリーの下のおしなり商店街でPayPayのスタートを取材していた(墨田区の4つの商店街でPayPayの実証実験を始めるというのだ)。しかし現場に行ってみると加盟店の数は全く増えておらず、商店街には人が集まっていなかった。ビックカメラのお祭り騒ぎは後で知って驚いたが、その熱気は下町の一般大衆には届いていなかった。縁がなかったといえる。

日本でQRコード決済というものを認知させる手段として、100億円キャンペーンは必要不可欠だったと澤田は今でも考えている。結局、その角度からでしか興味を示さない国民性だから。

けれど結果として、「PayPayは家電量販店だけのもの」というイメージが定着した。

QRコード決済とは、そもそもが中小零細事業者に向けて設計されたものだ。何しろ読み込み端末がいらないからね。だからクレジットカード導入すらも考えてない商店街の個人経営店舗が気軽にQRコード決済を導入できるようでないと、本当はダメだ。

しかも岩田氏の記事では、チェリーピッカーの存在も指摘している。

アーリーアダプターたちは、またの名をチェリーピッカーと呼ばれている。チェリーピッカーとは実だけをとって、さっさと逃げてしまう連中のことで、彼らはポイントについてはよく知っている。還元率が高い店に集まり、ポイントだけとって、他の買い物は一切しないから、店にとっても、カード会社にとっても歓迎できない客なのである。

確かにこんなんじゃ、「QRコード決済で商店街が賑わう」ということは夢のまた夢だ。

このあたり、国が主導して中小零細事業者への還元を狙っているインドネシアとは天地ほどの差がある。PayPayのせいで日本でのQRコード決済ブームが一過性に終わる可能性は、正直否めなくなった。

ただ、PayPayがその問題を見過ごすほど愚かなのかという思案もある。

中小事業者(一般商店)に向けた施策はちゃんと考えているはずで、逆にそうじゃなければ100億円キャンペーンの元が取れないし、それをやった意義もないはずだ。

もっとも、ソフトバンクはそもそもがファンドだから、そんなセンチメンタルなこたぁ考えないっつー話もあるけど。

もし岩田氏の指摘通りになったら、結局日本には中小零細事業者に向けた電子決済サービスは存在しないということになる。唯一、さるぼぼコインみたいな地域限定の電子マネーAlipayと連携して辛うじて頑張るような状況になっちまうんじゃねえか?