マイナンバーカードは日本のIT政策の「限界」を示している
マイナンバーカードは、要は「印鑑の延長線上」だ。
物体としてのそれがなければ何もできない、という点で銀行のキャッシュカードと全然違う。
ネットバンキングは、利用者がIDとパスワードを覚えてさえいればいい。携帯電話やメールアドレスと紐づけして認証番号を送信する、という手段も確立されている。いわゆる二段階認証だね。
けれど、そんな概念はマイナンバーカードにはない。
マイナンバーカードの申請はオンラインからでもできる。
PCがなくてもスマホでできる、というのは一見すると強みに見える。ところが、マイナンバーカードの受け取りは自治体の役場で行われる。つまり、どちらにしろ必ず外出しなきゃいけないわけだ。
しかもパスワードの再発行も役場に行かなきゃいけない。そのせいで窓口が混雑している。
「改善が必要」と言うけれど、これは「改善」じゃ済まない仕組み上の欠陥だと澤田は考えている。
だってこれは、「印鑑の延長線上」だから。そもそもがそういうコンセプトだから、「改善」というレベルのものじゃまだ足りない。
何でICカードリーダーが高値転売されるようになったのか? 政治家と役人がそれを本気で考えない限り、マイナンバーカードは「印鑑の延長線上」から進化しないだろう。