たまには澤田もエンターテイナー

ノンフィクションライター澤田が、このブログではエンターテイナーになった気でいろいろ振る舞います。

「電子マネー批判」は「老害」ではなく「誤解」に基づくもの

鳥越俊太郎の「電子マネー批判」は、あくまでもこの人が電子マネーについての知識を持ってないということで、「老害」とは違うんだよ。

70代だろうと20代だろうと、「電子マネーってよく分からないし使う予定もない」って言う人は一定数いるはずだ。逆に、高須クリニックの院長が言ったように中高年でも電子マネーを使いこなしてる人はいるわけで。

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で、現状は日本のキャッシュレス決済は今でもクレジットカードが圧倒的。

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キャッシュレス決済の9割って、ベラボーな数字だぜ?

こういう現状があるから、フィンテックやらキャッシュレス決済やらについて知らない人はとんでもない誤解を持つ。

電子マネーを利用する前に信用調査がある。自分はクレジットカードを持っていないから、どうせ審査なんか通らない。電子マネーを持つこともないだろう」

まあ、この誤解についてはこの前もブログに書いたんだけどね。電子マネーとクレジットカードをごっちゃにしてしまうという誤解だ。

何しろクレジットカードとデビットカードの違いも分からず、「自分は無職だから」とデビットカードを避ける人もかなり存在するほどだ。けれどそんな人に「インドネシア国民の半数は銀行口座を持っていません」と説明すると、間違いなく驚かれる。

誤解は認識のねじれを生む。どうして自分の銀行口座を(しかも複数も)持っているのに、デビットカードを作ることを怖がるのか? 日本の七不思議のひとつと言ってもいい。

 

スマホを使いこなせるか否か」も、当然大きい。

金持ちが貧乏人に対して「人は誰しもアメックスのゴールドカードを持ってないと社会が効率化しないザマスね」なんて言ったら、石投げられるだろう。けれど鳥越俊太郎を始めとした「スマホを持っていない&電子マネーに誤解を抱いている人」にとっては、「スマホでキャッシュレス決済=アメックスのカード」というわけだ。

スマホを使いこなせる」「スマホの機能をフル活用するだけの用途を見出すことができる」というのは、そうでない人にとってはアメックスのゴールドカードを所有するに匹敵する「特権」だ。だからガラケー所有者がスマホで電子決済をする人を目の当たりにしても、「あの行為は自分とは何ら関係のないものだ」という判断になる。

なのに「特権」を持ってる連中がいろいろ優遇されて、そうでない我々が長い行列に並ばんといかんのか。こんなの不公平だ、弱い者イジメだ……という流れになる。

まあ、一応の筋は通っている理屈だ。そりゃあ、アメックスのゴールドカード持ってる奴ばかりが列に並ばず映画館に入れるようになったら、澤田だって文句言うもの。けれど何度も書くけれど、スマホのキャッシュレス決済がゴールドカードに見えるのはあくまでも誤解に基づいた認識だ。

電子マネーの敷居はクレジットカードよりも遥かに低いということを、サービス提供各社はもっとPRするべきじゃないのかな。「ポイントが付いてお得!」なんて言うよりも効果的だと思うぜ?