たまには澤田もエンターテイナー

ノンフィクションライター澤田が、このブログではエンターテイナーになった気でいろいろ振る舞います。

Origamiと六本木ヒルズ

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Origami Payを運営していたOrigamiは、いわゆる「ヒルズ族」だった。

それが最終的には悲惨過ぎる最期を迎えた。

1株1円。それが全259株。

要はそうなるだけの負債を抱えている、ということで間違いはないと思う。

で、この件についてヒデヨシさんはこう書いている。

oreno-yuigon.hatenablog.com

オリガミの2018年12月期の売上高は2億2千万円で、営業赤字は25億円。

そんなオリガミのオフィスは六本木ヒルズの31階で、賃料は3億円前後だと言われていた。

オリガミの経営が危うくなったのはスマホ決済の競争激化による消耗が大きいのだろう。

もっと伸びると思っていた事業が想定よりも儲からなかったのは経営の難しいところだ。

しかしながら、事業規模に見合わない採用増加やオフィス賃料の負担も大きなコストとしてのしかかっていたのではないだろうか。

本業がそれほど儲かっていないうちから賃料がクソ高い六本木ヒルズに引っ越した康井社長に、

見栄を張りたい気持ち

がなかったとは言えないだろう。

この意見に、澤田は全面的に賛成する。

ただ、経営陣の「見栄を張りたい気持ち」よりも、今現在のオンラインビジネスのトレンドを把握してなかったんだろうなということを澤田は感じた。

「オンライン」とは、どういうことか。世界のどこにいても同質の仕事ができる環境を指す、と澤田は勝手に定義づけている。つまり、本社オフィスが六本木ヒルズである必要はまったくない。

むしろ、不動産価格の高い首都は避けたほうがいい。

これはフランスのパリなんかが深刻らしいんだけど、なんでパリの会社員はみんなコワーキングスペースへ行くのか。ある人から聞いた話によると、「行かざるを得ない」らしい。

外国人がパリの土地を買いまくるせいで、資金力のない中小企業ごときでは大きなオフィスを借りることができなくなる。職場が小さいもんだから、いつも誰かが席を空けないとやっていけない、というわけだ。

「お前、そろそろコワーキングスペースに行け」と上司に追い立てられるという。

それに加え、どこの国の政府も有望なスタートアップはできれば地方都市に腰を据えてほしい、という思惑を持っている。

都市部と地方部の経済格差を望んでいる政治家はいない。

日本だって、少子高齢化の波が地方都市に押し寄せている。余程の馬鹿でない限り、若い世代の率いる新興企業の存在を拒むことはしないはずだ。

 

いくら可能性があるとはいえ、スタートアップが六本木ヒルズにオフィスを持つという発想は、15年前の古いものだ。

スマホと4G、そして5Gは新興企業を「都会から地方へ」という方向に導こうとしている。

今後、5Gが整備されれば東京に本社オフィスを構える必要性が薄れるはずだ。そのほうが、クラウドワークを普遍化させようという昨今の動きとも合致する。

そう考えると、5Gの登場で伸びる企業と脱落する企業がまた出てくるんじゃねえか。

情報商材を買っている限り、絶対にその提供者よりも稼げない

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語学力を身につければ、恐ろしくカネになることは間違いない。

澤田の下手くそかつ不完全なインドネシア語ですらも、カネになっている。

英語以外の外国語をある程度読めるようになり、そこから現地のスタートアップや「どんなビジネスが流行しているか」ということを翻訳してそれを日本語の記事に書けば、買ってくれるところは必ずある。

このあたり、まさに「隙間産業」と呼べるものなのかもしれない。

 

たったそれだけのことなのに、大衆は図書館に通って語学を学ぶよりも情報商材を買おうとする。

なぜか?

簡単な話で、外国語をある程度でも覚えることは時間がかかるからだ。

語学習得とは即ち、半年ないし1年先を見越すことでもある。けれど、そんなことをするのは面倒くさい。だったら1記事1万円払って、手っ取り早く「スキル」を身につけよう。情報商材を提供する側も「この記事を読めばすぐに成果を得られる!」と公言している。

けれど、というより案の定、「素人でもできる仕事」は単価が物凄く安い。

「誰でもできる」というのはその分だけライバルが多いということだ。ライバルが多いと、ひとりアタマの報酬も少なくなる。これは自然の摂理としか表現できない。

だからこそ、澤田はインドネシア語で十分稼いでいる。

「どうしてインドネシア語? そんな言葉、役に立つの?」

今まで、何度そう言われたことか。「インドネシア語習ってるの? 凄い!」と言われた記憶は殆どない。

モンゴル語でもいいし、バスク語でもいいし、ルーマニア語でもいいし、ゾンカ語でもいい。とにかく、英語ではないマイナー言語を覚えたら世界の景色は絶対に変わる。

もう一度書くけど、それがかなりのカネを呼び込むことは間違いない。

 

情報商材の提供者は、自分より能力のある人間、言い換えれば自分より稼げる人間の登場を望まない。

当たり前だ。そんな奴が出てきたら、己の食い扶持がなくなるんだから。もっと具体的に書くと、情報商材という虚構が完全に見破られて打破される。

澤田は、既に「ネットでビジネス」を実行している。それで米を取っている。いざ自分がそうなってみると、結局は地道で時間のかかる方法でしかカネを生み出すスキルを開発できないと分かってしまった。

いや、「ネットでビジネス」という聞き慣れた言葉すらも実は正確ではないということすら判明する。

澤田は己のビジネスをするのに、たまたまネットを介しているに過ぎない。もしも大工の才能に恵まれていることが分かったら、明日からでもネットじゃなくて金槌とカンナで仕事をする。ネットなんてものは道具に過ぎない。

どうしてみんな、道具を唯一神のように崇め奉るのか。そしてそんなことを煽る人間を信じるのか。そのあたり、澤田は理解できない。

Origami Payがメルペイに統合!

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Origami  Payのメルペイへの統合は、実は物凄い成り行きだったことが分かった。

Origamiの株を1株1円×259万株でメルカリが買ったそうだ。

diamond.jp

「パイオニアの悲劇」という言葉がある。

コロンブス、モンテコルヴィーノ、平将門三好長慶、たま号。のちの大偉業や改革に先行する業績を達成して見せたのに、結局は存在を忘れ去られてしまう。どんな分野も、パイオニアは辛いポジションだ。

 

QRコード決済は、大衆から怒りを買っている。

そう書くと少々オーバーかな? けれど、増え過ぎたQRコード決済銘柄に対しては辛辣な意見のほうが多い。しかも、技術的には難しくないはずのQRコードの統一が企業都合で未だ達成されていない。

Origami Payは結局、QRコード決済乱立に飽き飽きした大衆の怒りを真っ向から被った……というのが澤田の見解だ。誰かに直接「Origami Payなんていらない!」と言われたわけじゃない。けれど、大衆の「QRコード決済が乱立し過ぎて草」という率直な感想は「これ以上新しい銘柄はいらない。むしろ今より数を減らせ」ということであって、そうなると結局は基礎体力のない銘柄が潰れていく。

PayPayやら楽天ペイやらd払いやらは後発組なのに、連中は巨大資本が生み出した作品だから図体は大きい。図体が大きいと、他にいろいろなことができる。そもそも、日本に限らず世界のキャッシュレス決済アプリはスーパーアプリ化していくのが自然の流れ。そうなれない銘柄は潰れるか吸収されるかの二択しかない。

そう考えると、Origamiって可哀想な会社だよね。使い勝手は結構良かったのに。澤田も度々使ってたんだよ。

「平凡」から逃れた先にある情報商材

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人間は、平凡を嫌う。これは今に始まったことではなく、昔からそういう性質をヒトは持っている。

第1回十字軍が編成される直前、隠者ピエールという男があちこちで演説し回った。「聖地を異教徒から奪還しよう!」。あまりに見事な演説だったらしく、そこらの農村の住民がピエールの後に続いて聖地に旅立った。この「民衆十字軍」は、旅先のあちこちの集落を略奪しまくりながらエルサレムを目指すんだけど、案の定途中でマムルークに殺された。生きて故郷に帰ったのは、ほんの一握り。11世紀末の話だ。

何でただの農民(もちろん、字の読み書きなんかできない連中)がそんな壮大な旅に参加したか。

世紀末の度に「世界の終末が近づいている!」と騒ぐ奴が出てくるのは100年に一度の定番なんだけれど、それ以上に当時の農民も「ごく平凡な暮らし」から逃れたい気持ちがあったからじゃないかと澤田は考えている。

 

高収入ではないけれど、親から引き継げるだけの家業がある。その仕事に従事すれば、盆暮れ正月以外は旅行に行けない代わりに配偶者と子供2人くらいは養えるだけの年収を得ることができる。

その仕事は、特段難しい内容というわけではない。ぶっちゃけ、誰でもできる。

これを「羨ましい」と取るか、「退屈」と取るか。

あくまでも澤田の独断と偏見だけど、後者の考えに至る人が数として多いんじゃないか、と思う。

少なくとも、ネットのキラキラに憧れて嫉妬する人の大半が「平凡な人」だ。これは貶してるわけじゃない。「平凡」であることは、本来なら素晴らしいことだ。誰もが平凡な生活を送れない国は、即ちカオスな状況の国だ。

ところが、万民が平凡な生活を送れる時代になると、ヒトにはそれに反抗する心理が働くようだ。

「自分はこんな平凡な一生を貫きたくない!」

一度そう考えてしまった人間は、できるだけ手っ取り早く平凡から脱却できる方法を探し始める。

本当の天才は、何かしらの事柄で成功するのに「できるだけ手っ取り早く」などということは思案しないのに。

 

というわけで、「誰でも簡単に大儲け!」と言って集客している情報商材には要注意。いや、むしろ避けるべきだ。

貴方と同じように、できるだけ手っ取り早く稼ぎたいと思ってる人は大勢いる。だから結局はパイの奪い合いになる。もちろん情報商材の提供者は「先行者有利」「早い者勝ち」という文言で貴方を誘うだろうけれど、貴方以外の誰かが「先行者有利」と言ってる時点でその分野は既に先行者が群れを作っている。貴方は間違いなく後発組だ。絶対に先行者には勝てない。

澤田がWeb物書きを始めた頃は、まさかスマホにニュース記事が直接(要はブラウザやアプリを通さず)配信される近未来になるとは誰も考えていなかった。いや、その分野のデベロッパーは考えていただろうけれど、少なくとも一般人は「Web記事はPCで見るもの」と考えていた。それが当たり前だった。

その「当たり前」が大変化したのは、澤田にとっては奇跡以外の何ものでもない。だから澤田は先行者になることができた。自分ではどうにもできない、奇跡という要素のおかげで。

奇跡はいつ起きるか分からない。けれど、意外な人物が意外な形で奇跡を運んでくることが多々ある。

だからこそ、常日頃から他人を馬鹿にしてはいけない。

「情報商材屋」に新しいプラットフォームが食い尽くされる恐怖

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昔、バディ・ロジャースというプロレスラーがいて、こいつがまた評判の悪い男だった。

抜群のエンターテイメント性を持っていたけれど、ブルーノ・サンマルチノ曰く「奴のやり方はショットガンのようなものだ。そのテリトリーを散々荒らしたら、そのまま次のテリトリーに移ってしまう」とのことだ。

他のレスラーへのお膳立てをしないまま、当地のプロレス人気が下火になるまで荒稼ぎをしていたということだね。

それでもロジャースは、大衆にエンターテイメントとしての付加価値を提供していた分まだ立派だ。

ウェブの世界では、一時の幸福すらも生み出さない「稼ぐ方法」を売りまくって、せっかくの新しいオンラインプラットフォームを食い荒らす奴らがゴマンといる。

 

YouTube、note、VALU、そしてBrain。発想としては悪くないプラットフォームのはずなのに、なぜか最盛期に集まってくるのは「コネなし素人が月ウン十万稼ぐ方法」を切り売りする情報商材屋だ。

そういえば、ユーザーを増やせば報酬をもらえるTSUというSNSもあった。

新しいプラットフォームを一から育てよう、などということは情報商材屋は露ほどにも考えていない。最盛期が過ぎたら、つまり可食部がなくなったら別の新興プラットフォームを探してしゃぶり尽くすだけだ。

これが「ネットでビジネス」の真実だ。せっかく知恵を巡らせ汗を流して完成したプラットフォームが、シロアリのような集団に徐々にパーツを切り取られていく。

「本当にそれでいいのか?」

澤田がそう問いかけても、無駄だろう。彼らにとってのウェブ世界とは、リアル世界の不満をぶつけつつ小遣い稼ぎの願望も叶えてくれる都合の良い存在に過ぎない。

だからこの言葉は、Brainの運営に向けるつもりだ。

「本当にそれでいいのか?」

「課金さえすれば夢が叶う」と思う大衆の心理

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「月20万円の不労所得!」

「楽しいこと、好きなことをして稼ぐ!」

「旅行しながら片手間で高収入の仕事!」

Brainの中で流れている、こんな調子の記事。よく考えたら、澤田はこの文言を見事に実現させている。それどころか月の収入は20万円どころじゃない。もっともらってるぞ。

和樂もSPAもuzureaもDIMEも、澤田にとっては楽しいメディアだ。そこで記事を書いてるわけだから、澤田は神に感謝しないといけない。

けれど、己にとって楽しいことをしている分だけ、頭を抱えている。

これもまたすっげぇ当たり前の話なんだけれど、物書きの仕事は「赤の他人に己の考え、主張を伝えなきゃいけない」ということで、これはとんでもなく難しい。とくに日本語は複雑過ぎて、下手な表現が墓穴を掘ることも多々ある。

そんな簡単なことが、なかなか理解されない。

「ライターなんて、ただ文章書くだけなんだから簡単な仕事でしょ?」

物書きという、摩訶不思議な商売の真髄を知らない大衆は安易にそう考えている。学校の読書感想文と同一線上に判断しているから、尚更厄介だ。

それは物書きをナメている証拠だし、裏返せば「俺でもあのくらいの記事を書くことができる!」と心のどこかで思っているということだ。

自分でもあのくらいのことはできる。

この考えが、「この人のオンラインサロンに入ればすぐに成功する」という発想につながる。

安直な発想が、さらなく安直な発想を生み出す。他人を馬鹿にする人間が、同じく他人を馬鹿にする人間の肥やしにされる。これは紛れもなく悪循環だ。そんなドツボにはまらないためには、「どんな人にもナメてかからない」という当たり前のことを心掛けておく必要がある。

澤田がこの世界で最も大切にする人、それは「近所のコンビニの店員」だ。

いや、コンビニでなくたっても構わない。薬局でも、スーパーマーケットでも、行きつけの温泉施設の店員でもいい。とにかく「顔だけ知っている身近な人」が、澤田にとっては一番の重要人物だ。決して彼らを不快にさせてはいけない。

会費に何万円も取られる後援会やら名刺交換会なんかに足を運んだことはない。

とある会社の新入社員研修で「偉い人の名刺を何百枚集める」というものがあるそうだけど、そんなものを何万枚もらったところで一体何の役に立つんだろう?

 

澤田はジャカルタに行った時、総合格闘家のマックス・メティーノ先生の道場で練習する。

マックス先生はインドネシア総合格闘技のパイオニア的存在で、UFCインドネシア向け放送の解説者も務めている。得体の知れない澤田真一という外国人を、マット界に受け入れてくれた人物だ。

そんなマックス先生とぜひお会いしたい! と澤田に仲介を頼む日本人がいた。

格闘技に興味があるから、というわけじゃない。マックス先生が前ジャカルタ州知事のバスキ・プルナマの従弟という理由からだ。

つまり、現地の有力政治家とお友達になりたいから澤田とマックス先生を踏み台にするということだ。

名刺交換が大好きな人間は、自覚なしにこんな非礼をやらかす。

今からでも遅くない。自宅の近所にあるコンビニの店員に一言「お疲れさん」と言えばいい。

それだけで、世界は劇的に変わる。

パイの少ないWeb物書き業界で「米を取る」ということ

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(注・この記事はBrain有料記事の完全版です)

物書きに憧れる人は多い。

「自分の好きなことを主張しながら大金を稼ぐ」ことができる仕事、それがライターだと思っている人がかなり存在するというのは澤田も日頃から感じている。

確かに、物書きという商売は入り口だけは無茶苦茶広い。

ところが、現実問題として「そこからどう稼ぐか」という手段があまりない。言い換えれば、専業物書きとしてやっていけるだけの石高が初めから少ないということだ。

鎌倉時代末期の日本と同じで、狭い列島の中で親兄弟が土地を分捕り合っている状況だ。

それじゃあ、なぜ澤田は今こうして専業物書きをやっているのか?

海外旅行しながら、現地のホテルのWi-Fiで物書きの仕事をして米を取ることができるのか?

理由はふたつ。まずは若い頃に大型書店や図書館に通い詰めた時の貯金が利いているから。和樂Webでも日刊SPAでも、澤田は読書を積み重ねた末の知識をフル活用して記事を書いている。

もうひとつの理由、それは「奇跡」だ。

そう、「奇跡」と言うしかないことが澤田の身に起こった。

澤田がWeb物書きの仕事を始めた時、ちょうど日本でスマホが普及する途中だった。スマホのお陰でニュース閲覧の仕方も変わった。PCを使うよりも、スマホを使う機会のほうが多くなった。

もしWeb物書きを始める時期が1年でも遅かったら、今こうして生活できるだけの米を取れていたかどうか分からない。

残念な事実だけれど、Web絡みの業種は基本「先行者有利」。澤田はWeb物書きを始める時期がたまたま良かった。

ただ、どんなパターンも「成功」というのは2、3の奇跡に遭遇しているものだと思う。歴史の勝者が、どこかで何かしらの奇跡に恵まれているのと同じだ。

「澤田さんは大きなメディアで記事書いてますよね? 私もそうなりたいです。どうすればいいですか?」

最近、そう問われることが多くなった。澤田の口から言えることは、「まず大型書店に通いなさい」だけだ。

紀伊国屋とか丸善とか、そのあたりに毎日2時間の立ち読みを3年続ければ、それなりの知識を得ることができる。

もちろん、この「修行」はよほどのド田舎に住んでない限り、誰でもタダでできる。