たまには澤田もエンターテイナー

ノンフィクションライター澤田が、このブログではエンターテイナーになった気でいろいろ振る舞います。

「課金さえすれば夢が叶う」と思う大衆の心理

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「月20万円の不労所得!」

「楽しいこと、好きなことをして稼ぐ!」

「旅行しながら片手間で高収入の仕事!」

Brainの中で流れている、こんな調子の記事。よく考えたら、澤田はこの文言を見事に実現させている。それどころか月の収入は20万円どころじゃない。もっともらってるぞ。

和樂もSPAもuzureaもDIMEも、澤田にとっては楽しいメディアだ。そこで記事を書いてるわけだから、澤田は神に感謝しないといけない。

けれど、己にとって楽しいことをしている分だけ、頭を抱えている。

これもまたすっげぇ当たり前の話なんだけれど、物書きの仕事は「赤の他人に己の考え、主張を伝えなきゃいけない」ということで、これはとんでもなく難しい。とくに日本語は複雑過ぎて、下手な表現が墓穴を掘ることも多々ある。

そんな簡単なことが、なかなか理解されない。

「ライターなんて、ただ文章書くだけなんだから簡単な仕事でしょ?」

物書きという、摩訶不思議な商売の真髄を知らない大衆は安易にそう考えている。学校の読書感想文と同一線上に判断しているから、尚更厄介だ。

それは物書きをナメている証拠だし、裏返せば「俺でもあのくらいの記事を書くことができる!」と心のどこかで思っているということだ。

自分でもあのくらいのことはできる。

この考えが、「この人のオンラインサロンに入ればすぐに成功する」という発想につながる。

安直な発想が、さらなく安直な発想を生み出す。他人を馬鹿にする人間が、同じく他人を馬鹿にする人間の肥やしにされる。これは紛れもなく悪循環だ。そんなドツボにはまらないためには、「どんな人にもナメてかからない」という当たり前のことを心掛けておく必要がある。

澤田がこの世界で最も大切にする人、それは「近所のコンビニの店員」だ。

いや、コンビニでなくたっても構わない。薬局でも、スーパーマーケットでも、行きつけの温泉施設の店員でもいい。とにかく「顔だけ知っている身近な人」が、澤田にとっては一番の重要人物だ。決して彼らを不快にさせてはいけない。

会費に何万円も取られる後援会やら名刺交換会なんかに足を運んだことはない。

とある会社の新入社員研修で「偉い人の名刺を何百枚集める」というものがあるそうだけど、そんなものを何万枚もらったところで一体何の役に立つんだろう?

 

澤田はジャカルタに行った時、総合格闘家のマックス・メティーノ先生の道場で練習する。

マックス先生はインドネシア総合格闘技のパイオニア的存在で、UFCインドネシア向け放送の解説者も務めている。得体の知れない澤田真一という外国人を、マット界に受け入れてくれた人物だ。

そんなマックス先生とぜひお会いしたい! と澤田に仲介を頼む日本人がいた。

格闘技に興味があるから、というわけじゃない。マックス先生が前ジャカルタ州知事のバスキ・プルナマの従弟という理由からだ。

つまり、現地の有力政治家とお友達になりたいから澤田とマックス先生を踏み台にするということだ。

名刺交換が大好きな人間は、自覚なしにこんな非礼をやらかす。

今からでも遅くない。自宅の近所にあるコンビニの店員に一言「お疲れさん」と言えばいい。

それだけで、世界は劇的に変わる。

パイの少ないWeb物書き業界で「米を取る」ということ

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(注・この記事はBrain有料記事の完全版です)

物書きに憧れる人は多い。

「自分の好きなことを主張しながら大金を稼ぐ」ことができる仕事、それがライターだと思っている人がかなり存在するというのは澤田も日頃から感じている。

確かに、物書きという商売は入り口だけは無茶苦茶広い。

ところが、現実問題として「そこからどう稼ぐか」という手段があまりない。言い換えれば、専業物書きとしてやっていけるだけの石高が初めから少ないということだ。

鎌倉時代末期の日本と同じで、狭い列島の中で親兄弟が土地を分捕り合っている状況だ。

それじゃあ、なぜ澤田は今こうして専業物書きをやっているのか?

海外旅行しながら、現地のホテルのWi-Fiで物書きの仕事をして米を取ることができるのか?

理由はふたつ。まずは若い頃に大型書店や図書館に通い詰めた時の貯金が利いているから。和樂Webでも日刊SPAでも、澤田は読書を積み重ねた末の知識をフル活用して記事を書いている。

もうひとつの理由、それは「奇跡」だ。

そう、「奇跡」と言うしかないことが澤田の身に起こった。

澤田がWeb物書きの仕事を始めた時、ちょうど日本でスマホが普及する途中だった。スマホのお陰でニュース閲覧の仕方も変わった。PCを使うよりも、スマホを使う機会のほうが多くなった。

もしWeb物書きを始める時期が1年でも遅かったら、今こうして生活できるだけの米を取れていたかどうか分からない。

残念な事実だけれど、Web絡みの業種は基本「先行者有利」。澤田はWeb物書きを始める時期がたまたま良かった。

ただ、どんなパターンも「成功」というのは2、3の奇跡に遭遇しているものだと思う。歴史の勝者が、どこかで何かしらの奇跡に恵まれているのと同じだ。

「澤田さんは大きなメディアで記事書いてますよね? 私もそうなりたいです。どうすればいいですか?」

最近、そう問われることが多くなった。澤田の口から言えることは、「まず大型書店に通いなさい」だけだ。

紀伊国屋とか丸善とか、そのあたりに毎日2時間の立ち読みを3年続ければ、それなりの知識を得ることができる。

もちろん、この「修行」はよほどのド田舎に住んでない限り、誰でもタダでできる。

Paidyの新規会員登録は、確かに無茶苦茶簡単だった!

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澤田がSPAで書いたこの記事にもあるように、敢えてPaidyでアカウントを作ってみた。

nikkan-spa.jp

簡単だった、ものすごく。

後払いサービスということは金融サービスなんだから、当然審査もあるだろう……と思っていたら、本当に電話番号とメルアドだけで済んじゃうんだよね。商品の送り先の住所も入力するんだけど、その住所と電話番号&メルアドを紐づけるということはまったくしない。

要はここを詐欺師に突っつかれたわけだ。

 

そのあたり、今後金融庁のチェックが入るんじゃねぇかと思う。

Paidyみたいなサービスはインドネシアで乱立してるんだけど、中には萬田銀次郎みたいなことをやってるところもあるわけで。

thebridge.jp

金利も高く、アプリの中には90日間で360%という驚くべき金利(1日につきおよそ4~5%)のものや、支払期日を過ぎるとさらに高くなるものもある。これらの金利貸金業者が請求する事務手数料に加えられるが、場合によっては貸付総額の25%に達するケースもある。

日本は武富士ショック以来ノンバンクの金融機関に対しては厳しい規制がかかったんだけど、あの時分はスマホなんてものは存在しない。新しいテクノロジーが登場すれば、既存の法律に虫食い穴がどうしても出てくる。

澤田は思うんだけど、Paidyにも新規会員の審査基準を設けた方がいいんじゃねぇか?

OYOの件で酷く凹んでいる澤田さん

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OYOは、日本から撤退するかもしれない。少なくとも、このままの状態を放置しているわけにはいかんだろう。

www.traicy.com

AIが日毎の宿泊料金を決めるというシステムは、誰しもがOYOのアプリを使っている時にはものすごい攻撃力を発揮する。

ところが、東南アジアにある程度滞在していた人間ならともかく、普通の日本人は「OYO? 何それ美味しいの?」という感じだ。

誰もOYOを利用しない状況だと、FC加盟店にとってはOYOに払う費用ばかりが足枷になる。そこで摩擦が発生した、というわけか。

そんなOYOに、澤田は相当な期待感を持っていた。

intojapanwaraku.com

日本国内の歴史探索旅行に、OYOのアプリは欠かせないものになっていくと筆者は確信している。

この時の澤田は、本気でそう思っていた。今思うと、恥ずかしいのだが。

質の悪い安宿をFCに組み込んで、ハイレベルなサービスの安宿に生まれ変わらせるというOYOの発想自体は素晴らしい。ところが、日本の安宿(民宿)はそもそもハイレベルだ。自前の料理を提供したりもするし、あとは防犯カメラと便器の洋式化、それと有料チャンネルの映る薄型テレビを一部屋1台設置すればそれでいい。

しかも、日本の民宿は昔からの顧客を抱えていたりもする。

それを分かってないOYOにいろいろ指図され、しかもFC料も取られる。

FC加盟店にも責任の一端はあるとはいえ、OYOはあまりにも日本の旅館事情を無視し過ぎた感がある。

 

そんなOYOの体質を見抜けなかったのは、澤田の重大な過失だ。

これ以上、どんなことを書いてもそれは言い訳に過ぎない。

ビジネスは、本当に難しい。

澤田の記事はステマっぽい?

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「澤田の記事はステマっぽい」とは、たまに言われる。

けれど、澤田は一円だって取材先からもらったことはない。

簡単な話で、澤田は取材対象の製品や企業のマイナス評価を記事内で極力やらないだけだ。

「それはお前が取材先からカネもらってるからじゃないの?」と言われるのは、覚悟している。けれど、そこまで疑われるのなら澤田オフィスの帳簿を公開すりゃ済むことだ。

 

取材先に対してよく言ってるのは、澤田の記事は「広義の報道記事」だということ。

つまり、これから書く記事はジャーナリズムですよ。広告ではありませんよ。事実関係についての訂正は受け付けますが、文章の表現については澤田の裁量でやらせてもらいますよ。

こう言わないと、記事に対して一字一句注文を付ける企業が時たま出てくる。

中には「30代の女性向けの記事を書いてください」と言ってきた取材先もいて、これはさすがに呆れた。「我が社の商品の取材をしてください!」と言ってきたのは向こうなのに、あとになってそんな馬鹿みたいな注文をしてくる。こうなると、記事の配信はご破算。「なら澤田は書きません」ということになる。

澤田が記事の中で商品や企業についてのマイナス評価をあまりしないのは、そういうことだ。

あまりにダメダメなものを、わざわざ書く必要はないと澤田は思っている。

 

こんな取材相手に遭遇したことがある。

「何でも好きに書いてください。おたくの創作でも、俺の言ったことにしちまっていいですよ」

そこまで言い切ったのは、後にも先にもこの男だけ。

鈴木みのるという人物だ。

dime.jp

だからといってこの記事に澤田の創作は一切ないけれど、鈴木選手はまさに真の漢。これがプロレスラーなのか、と心の底から感じた。

あの取材で、澤田は鈴木選手から何発も張り手を食らったような気がする。本当に殴られた、ということじゃないぞ。会話をする中で、澤田の精神に活を入れられた。そんな取材だった。

もう一度書く。鈴木選手は真の漢だっっっっっ!!!!!

 

もし上の記事について「澤田は鈴木や髙山から金をもらってステマ記事書いてる」なんて言われたら、その時は本気で怒る。

鈴木選手からは魂をもらったつもりだけど、カネは一円だってもらってない。

それは今年配信した、桂三輝さんの取材でも同じだ。

intojapanwaraku.com

「どうして落語家見習いは、師匠に言われる前に茶を出さなきゃいけないのか?」ということは、澤田もずっと疑問に思っていた。

それが三輝さんの話を聞いて、一気に氷解した。

そのあとで三輝さんの落語を聞いたんだけど、本当に面白い話ってのは何ヶ月経っても頭に残るよね。

カナダ人の三輝さんが文枝師匠から何を教わったのか、文枝師匠が考えている話芸とは何なのか、今になってよく分かる気がする。少なくとも、澤田の文枝師匠のイメージは「いらっしゃ~~~い」というもんじゃない。綺麗に整備された日本庭園にそびえ立つ巨大な松の木、それが文枝師匠のイメージだ。

そういうことは、取材先からカネをもらうPR記事では絶対に聞き出せないと思う。ましてやステマ記事で、ここまでのレベルに持って行くのは不可能だ。

鈴木選手も三輝さんも、「広義の報道記事」と言い放った澤田に対して全力でぶつかってくれた。取材はプロレスに似ている。そしてそれは、つまるところ書いているものが「広義の報道記事」でなければ取材相手は本気を出してくれない。

つまり、澤田の記事は酷評せざるを得ないほどの低レベルなモノやコトに対しては無視を貫くものだということを理解していただきたい。すると、配信される記事は自然と「高評価する内容」ばかりになっていくわけだ。

しずおかMaaSよ、さようなら。あなたはもう必要ない。

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静岡市と静岡鉄道が主導して実証実験をやってる「しずおかMaaS」。ところが、11月のAIタクシーの実証実験はオメェふざけてんのかというレベルのプラットフォームの出来栄えだった。

nikkan-spa.jp

澤田はこの記事では書かなかったんだけど、そもそもこのしずおかMaaS、2019年から4ヵ年計画で実験をやって商業化を進めるというカタツムリっぷり。その間に海の向こうから黒船がやって来るとは夢にも思ってない体たらく。

そんなこと言ってたら、案の定やって来ましたよ中国製の黒船が。

travel.watch.impress.co.jp

これ、PayPayとも連携してるからね。要するにPayPayのアプリからでもDiDiのタクシーが呼び出せるっつーことだ。

bitdays.jp

あのさぁ、マジでどうすんの静岡市

4年もあったら、DiDiどころかGrabやGo-Jekまで進出してくるぞ?

あとは法律が変わってライドシェアができるようになるか、そうでなくとも相乗りタクシーの規制が緩和されれば、静鉄×静岡市のしずおかMaaSなんてあっという間にすっ飛ぶぞ。

しかもよく見りゃ、DiDiの参加タクシー会社の中に静鉄タクシーも入ってる。静岡市主導の事業なんて、そのうち静鉄からも見捨てられるんじゃね?

ねえ、ホントどうするんのよ?

今時、AIの開発くらいどこのオンライン配車サービスもできるんだよ?

法律さえ変われば、静岡市の力なんざ借りなくたっていいんだよ?

おたくらのこと言ってんだよ、交通政策課。

マイナポイントって、正直どうなの?

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「2万円チャージしたら5000円分のポイントがもらえる」っつーマイナポイント、あれやっぱ奇妙な政策だよ。

これについて、荻原博子氏がこう言ってる。

jisin.jp

手続きには、パソコンだと専用ソフトのインストールや2,000〜3,000円のICカードリーダライタが、スマホだとパソコンとのブルートゥース接続などが必要。

 

澤田はSteamの洋ゲーの日本語ローカライズMODを自分で入れたりするんだけど、それでも外付けのICカードリーダーなんて持ってないよ。

そんなんで3000円すっ飛ばしたら、ポイント還元でもらえる5000円なんか殆ど意味ないよなぁ……。カードリーダー買うためにマイナポイント利用してるようなもんじゃん。

だからマイキーIDがiPhoneに対応するのを待つしかないか、或いは市役所の対応窓口に行くか。けれど対応窓口なんて混雑するはずだから、そんなのに時間かけたかねぇわな。

で、このマイナポイントのキャッシュバックが1回きりなのか、それとも30日なら30日の間を開けてもう一度もらえる資格が発生するのか、そのあたりは未確定らしい。もし後者だったら、恐ろしいことになるぞ。

簡単な話で、政府の予算が尽きるまでの還元争奪戦になる。PCもスマホも使えない人たちはもちろんだけど、結局はキャッシュレス決済サービスについて網羅している還元ガチ勢がパイの大半を持ってっちまうことだってあり得るんじゃねぇか?

そういう意味で、マイナポイントはあんま頭のいいやり方とは思えなんだ。

 

そういう視点で見たら、キャッシュレス還元事業だって「恩恵の獲り合い」みたいな構造だっつーのは否めない。

地域差もそうだけど、どの店でどんな決済銘柄を使えば一番得かということを知り尽くしてる人間ばかりが有利になっていく。だから、そんな事業はとっとと辞めろ安倍政権……とは言わない。自分の発想で機械をいじるのがすこぶる苦手な日本人の場合、こうでもしなきゃキャッシュレス決済なんか普及しないという理屈は間違っていない。

実際、スマホ教室に人が多く集まるようになったしね。キャッシュレス還元事業のインパクトは、確かに目に見えて現れている。

それだったらマイナポイントなんかやめて、還元事業の期間を延長すりゃいいんじゃねぇかと思う。